信託財産は、委託者や受託者が破産しても影響はないとお話ししました。
委託者や受託者が、亡くなっても相続財産にはならないとも説明しました。
強制執行(差し押さえ)の対象にもなりませんでした。
このような特徴を悪用して、信託を利用することは禁止されています。
☑破産の危険があるから、自分の財産を受託者の名義に変更したい。
☑差し押さえされそうだから、自分の財産を受託者の名義に変更したい。
こういった目的で信託を利用することは、禁じられています。
信託契約は、委託者と受託者の約束事でした。
委託者が受託者に自分の財産をどのように管理運用、時として処分してほしいかを伝え、任せるのです。
委託者ご自身がお元気なうちは、受託者の仕事ぶりが気になるでしょう。
時々、受託者に対して、指図をしたり、やり方に関して注文することもあるでしょう。
まったく、口を挟まないということはないでしょう。
これは、ある程度ならやむを得ないことですし、当然あるべきです。
しかし、委託者が強すぎると問題となります。
委託者が強すぎると、信託が成り立たなくなります。
なんでもかんでも受託者のやり方に注文を付けて、やり直させるようなことは慎まなければなりません。
受託者には、託された仕事を行う上で、さまざまな義務があります。
■任された仕事を怠けず行い(信託事務の遂行義務)
■明確に他の財産と分けて(分別管理義務)
■任された財産を大切に扱い(善管注意義務)
■信託の結果をきちんと報告(報告義務)する。
などの義務があります。
受託者は受益者のために、働く義務があります。
自分の私欲のために、預かった大切な財産を管理運用、処分してはなりません。