遺言と信託

遺言は、遺言者の最終の意思を実現させる有効な方法です。

遺言を作成しなかったために、相続争いが生じ、家族仲が悪化してしまったという話は、枚挙にいとまがありません。

 

遺言を作成しておこうという方が、ずいぶんと増えてきました。

これは、良いことだと感じます。

 

 

しかし、遺言は、自分の財産を誰にあげるかを決める有効な手段ですが、下記のようなことは遺言ではできません。

 

☑遺言を作成しても、相続人全員で違う方法で分け合うことは、禁じられていません。

☑自分の財産をあげる人は決められても、その次の人を遺言で指定することはできません。

☑遺言の効力が発生するのは、その方が亡くなった時ですから、その方が亡くなるまでに認 

 知症にかかってしまった場合の対策は、遺言では対応できません。

☑遺言の内容を実現する人を遺言執行者といいますが、その遺言の実行は相続が発生してか

 らとなりますから、結果を知ることはできません。

☑負担付遺贈の遺言をしても、受遺者が望み通りの負担(自分が気になる方の介護等)をし

 てくれるかわからない。

 

 

上記のようなことは、信託で対応することが可能なのです。

 

 

一方、遺言も使い方によって、有効な場合があります。

例えば、相続承継で気を付けるべきこととして、「遺留分」があります。

これは、相続が発生した場合に、法律が最低保証として、遺産を分けてもらえない相続人のために、取得を保証している相続分を言います。

 

言い換えると、遺留分を無視して、信託を設定すると、遺留分に相当する部分は、信託の実現が難しくなる恐れがあるのです。

このように、遺留分の問題は、相続の争いの一つとして、考慮しなければなりません。

 

 

このようなときに、遺留分を主張してきそうな相続人への配慮として、遺言で遺留分相当額の財産を与えるという遺言を作成しておけば良いのです。

遺留分相当額の財産は、信託財産としないということです。

 

このように、遺言と信託を上手に使い分けることも、重要となります。