受託者は、委託者の思い(信託の目的)に従って、誠実に信託事務を処理しなければなりません。
信託の目的に反する行為をしたり、信託事務をしないことなど、許されないのです。
信託事務が複雑であったり、困難な場合は専門家に事務の一部をお願いすることは可能です。
受託者は、信託事務を遂行するときは、善良な管理者としての注意をもって行うことが求められています。
自分のためにする場合より、より注意を払って、信託の処理をすることが必要なのです。
ただし、この注意義務を信託行為(信託契約等)で軽くすることはできるとされています。
受託者は、受益者のために忠実に、信託事務を行う必要があります。
受託者は、受益者の利益のために行動すべきであって、受益者の利益を犠牲にして自分自身や第三者の利益をために行動することが禁じられているのです。
受益者が複数いる信託も設定することができます。
このとき、受託者は複数いる受益者を公平に扱わなければなりません。
ここでいう公平とは、全員平等という意味ではなく、信託目的に定められた方法で受益権の給付するという意味です。
AさんとBさんの2人の受益者がいるとき、その受益権の割合がAさんが2に対して、Bさんが1ならば、2:1の割合で受益権の給付をするという意味なのです。
受託者は、信託された財産と、受託者自身の本当の意味の財産を明確に分けて管理しなければなりません。
もし、信託を他にも引き受けているならば、信託毎に財産を明確に分けて管理しなければなりません。
よく信託される不財産して、不動産、株式、お金が挙げられますが、下記に規定する方法で分別する必要があります。
■不動産の場合は、信託の登記
■株式の場合は、株式名簿への記載等
■お金は、銀行において信託口口座の開設
委託者と受益者は、受託者に対して信託事務の実行状況・結果、信託財産の状態など、信託にかかる報告を求めることができます。
委託者と委託者は、この報告を通じて、受託者の処理状況を見守ることができるわけです。
このように受託者は、さまざまな義務を負っています。
しかし、どの義務も実行に移すことが、とても難しいというものではないと思います。
願いを実現させるために、委託者から託されたわけですから、家族全員で協力しあっていく姿勢があれば、問題はありません。
受託者は、その家族の中の中心にいるわけです。